ホーム > 旅の果て日記

1月13日
5,00am起。曇。肺気腫の高校先輩より、贈った食品礼状。われの健康によろしとて、朝夕摂取せるは、沖縄「ウコン」、活性酸素制御の「スカヴェンジャー」、沖縄「海藻ジュース」。他に栄養補助として、「亜鉛」と「鉄」。「文学界」記憶だのみで書いているが、雑本の一節に「記憶とは、嘘でかためた偽善」、判り難いが、そんな感じがしないでもない。よく肥った野良猫2匹、朝夕食いものをうるさくねだり、与えている、体には触れさせない。TVが生鮮食品安売りに群がる人たちを写す。2,30本10円の人参、1円の白菜、生産者はどうみるか。常時、シチューを備える食習慣なら、消費者にとって福音だが。店員の表情もいやしい。


14日
快晴。以前、荷風の日記を、読まれることを意識して書いたなど、訳知りぶっていたが、「読者」を想定しての日記はむつかしい。これぞ、嘘で固めた偽善になりがち。それにしても、国際情勢は知らず、日本はひどい国になった、このあらわれのいちいち、ことさら取りあげる気にならぬ、すると、書くことがない。多分、週刊誌記者も困っている、「総崩れ」の一部分うんぬんしてもはじまらないし。家事に費やす時間、1時間半、歩数2800。腰をかがめて1分保たない。


15日
晴。田辺聖子さん御夫君制御の記事。ウコン飲みつゝ、ムセて、机辺黄一色となる。65歳以上の人口比率15%、このうち一人暮らし14%。一人暮らしは鹿児島がいちばん多く22%、東京20%。アフガニスタンの平均寿命49歳。この統計はあやしい。江戸時代、今日が「元服」つまり、サムライの子は前髪をおとし、一人前。戦前、この日によく徴兵検査が行われた。成人式のゴタゴタ、何も言う気もない。多分、こういうくだらぬ行事に反発する連中の、「無軌道」ぶりを大々的に伝え、だから軍隊でビシッと鍛えねばならぬの、下地作り。20年前、新しい有権者におもねる態みえすいて、むしろかわいい感じ、もはや新成人とやら、選挙は他人事。それにしても親同伴とはね。


16日
曇。昨日の暖気から一変、寒い。学校給食、今、アレルギー対策が緊急事らしい。弁当持参がまるでいわれない。子供の頃、アレルギーなんて言葉はなく、蕁麻疹、その元は、大体鯖だった。45年前、「東京アレルギー」なる戯れ歌の作詞をした、俺はいつも早すぎる、そして締切の時代はおくれたまま。文学界2枚書く。夜、雨。7,00pm。野坂塾。「笑組」漫才、永六輔「医療について」お客約100人。来月は20日。


17日
曇。銀座5丁目、洋書店「イエナ」閉店。近藤書店の上階、ここへあがらないと具合悪いような見栄が、以前あった。7月に産れた雌猫ニコ、シーズン到来。彼女のきょうだい、老猫ともに雄。思案のあげく、きょうだいのアルに処理を施すこととし、入院。「恋猫」は季題になっているが、なんともうるさい、俳句どころじゃない、遠くにありてふと耳にするもの。新幹線での宝石盗難つゞいて2件。欧米なら、手錠のように鞄と手首をつなぐ。米子の中島よりtel, 大病3度、声しごく元気。「文学界」の記憶よみがえらせるよすが、わが若き頃の写真をみる、たちまち鬱気配。なつかしく思うなどさらになし。この心境、小説になる。アフガニスタン暫定政権の頭領、英国大貴族より、顔立ち体躯風格立派。一方で、3円あれば、子供の生命を、伝染病から救えるらしい。アラビヤ語入門テープ届く、ぜんぜん発音できない。日本人は発音について、きわめて不器用らしい。


18日
晴。8,30am、TV。以後、中央図書館。昔の文壇ゴシップを求めて、雑誌、新聞検索、フィルムだから見づらい。周辺に焼かれなかった家屋散見、築後7,80年か。かなたにトップヘビーの高層ビル、まったく気づかなかった。地震に向けて、ビルが文字通り簇生。大丈夫なのか。「ナマ脚」という表現をみかける、実感はよくでている、素足とは違うね。本日、サンドイッチ半分、そばのみ。


ホーム > 旅の果て日記

野坂昭如オフィシャルサイト nosakaakiyuki.com
(C)Akiyuki Nosaka. All Rights Reserved