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1月19日
晴。アル退院。梅少し咲く。書斎乱雑の極。仔猫の写生、ジジ散歩。TVを観る、土曜日のせいか、ただ「食う」「湯に入る」「クイズ」ばかり。新聞見出しに、「抜け道熟知手口は幼稚」七七で脚韻を踏む。


20日
晴、少し曇。4,00am起、7,00amまで書斎片付けかつまた家事にいそしむ。このての作業がいちばん合っている。神経障害に悩む新潟の同級、折戸も、運動は「家事」らしい。ドゥで泳ぐ。日曜は爺イが多い、いい歳してとまず考え、すぐ自らをかえりみて反省。握力は落ちないが指先で何かをつまむ感覚が衰えている、よく洗いもので皿を割る。これと、降圧剤服用したか、まだか、わからなくなることが多い。


21日
小雨。7,00am起。久しぶりに8時間連続睡眠、泳いだせいか。牛肉を扱うお上から、くだらぬ、愚劣な、「狂牛病」報道にいちゃもんの手紙。文学界、後200枚書ける感じ、深夜、2枚オーバーで脱稿、すべて記憶だのみ。


22日
3,00am、文学界担当者とりに来る。初対面でビールをすゝめたら、2杯でソファに崩れ睡りこんだ。近頃の――と考えたが、彼、グラス半分飲めない下戸だった。いつ寝入ったやら、気づくと11,00am。ボギー散歩、快晴。暮から、TVによく面をさらしたから、見知らぬ方に挨拶される、実にテキ面。どうして俺は近所へ出る時、最低のボロをまとうのか。冬期散歩用衣裳腐るほどあるのに。新潟の折戸、神戸下山に手紙。書くのはクセのもの、前夜、40枚の名残だ。


23日
快晴。見上げる空に雲見当たらず。冬にこそ日本の自然のやさしさ、といっても太平洋側関東以西だが。折戸の話だと、新聞の予報に、雪ダルママークが多いが、新潟市で降ったのは、元旦と3日だけ。「ヒトケタ」はまとめて一気に書かないと無理、生れが1年違うと、体験に天地の差、細かいことにこだわればキリがない。だからこそ、意味もある。新潮書く。午後、無言電話しきり。電車からのケイタイは、受ける側にとってしばしば無言となるらしい。2日前、鹿児島にクジラが10数頭漂着、1頭は海へ返し、残り死亡。焼くとか埋めるとか悩んでいる、食えばいいだろうに。NHK、8,9月の番組出演依頼、敗戦芸人として賞味期限中らしい。30分を8回。


24日
快晴。一日執筆。夜、寒さつのる。


25日
快晴。各種支払い。5,00pm、国書刊行会島田。6,00pm、フランス人と日本人3人、いずれも帝国ホテルで逢い、われそのまま泊る。風呂へ入った。凄い垢、風呂洗いでくたびれた。


26日
5,00am起床。新聞原稿書き、TBS。終えて、TV朝日スタジオ。文学界ゲラ。よく働いたような空しいような。夜、雨となる。


27日
雨―曇。4,00am起。久しぶりに鏡をみる、シミが増えた、ヌカンとぞ思う。ついでにシワもとる。以前、整形といえば、新橋の十仁病院だったが。40年以上前大坂の美容整形CMソングを作った ミルミルミチルミチガエルとかなんとか、作詞料35,000円。隆鼻術が8,000円だった。「最後の林檎」ホームページ書く。パソコン用文体について悩むのは止め。


28日
快晴。起5,30am。ボギー散歩。近くにつながれっ放し、小屋のないまま飼われている犬2匹。一方でロボット犬とやら。国会、ウソツキ論議でもめている。無用の長物なのだから、勤める身として、張合いがないには違いない。「接待省」にすれば、名が実を伴う。愛媛丸に体当たり撃沈せしめたアメリカの原潜、またブツケたらしい。おはらいでもしてもらえ。新潮書く。円安進む、多分、アメリカ禿鷹ファンドのせい。


29日
前夜より、書いたり読んだりで不眠のまま、7,00am鳥に餌やる。どこでみているのか、パン屑置いて30秒後、雀が来る。つゞいてコマドリ。カラスは、部屋の中で手を叩くと去る。都がカラス退治にのり出しているが、石原のちょっとした愚痴を、役人が大仰に受止めたのだろう。カラス退治の号令をかけるほどバカじゃない。いつしか眠り、夕刻目覚めて下高井戸買物。魚屋に続き佃煮屋、肉屋廃業、店にホームレスホーム同様ブルーのシート。


30日
晴。東女医で検査予約、薬受取り。新宿まで歩く。ドゥで軽トレ。このところタクシーを利用しなかったが、くたびれて乗る。家まで2860円、確かにバカバカしい。7,30pm桜上水で原田と逢う。またひときわむさくるしい。彼も外出時、ことさら汚な作りか。

 


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