ホーム > 旅の果て日記

2月18日
晴。4,00am起。なんとなく入浴。どう考えても、湯に体を浸す楽しみが理解できない。人間の本質的な悦びとは関係ない、清潔症の類いであろう、風呂上がりがどうのこうのいう奴は。なにしろ春は名のみの裸の寒さ、ガスストーブの前で人心地とりもどす、自然に生じた皮膚の残シを垢というのは奢りであろう、これを化学物質で除き、風邪をひくなど馬鹿そのもの。電動歯ブラシで歯茎をこすりゃすりむけた感じ、髭を剃れば、後がピリピリする。当分、TV出演、講演芸人のお座敷もない、自然に生きよう。「ヒトケタ」軌道にのり、書き続け、食を忘れる。公演は終ったが、まだ次女の楽屋差し入れが冷凍庫にある、もったいないから、チンして食う。ブッシュ大統領来日して、小泉と対談、貧乏神のコソコソ話みたい。午睡、2キロのおもり足首に装着、下高井戸買物。ラジオで、この活気ある市場に閉店3軒と告げたこと、乾物屋にやんわり抗議された。古本屋に明治20年刊、英語教科書。「ディスイズアペン」の訳、「ココニアル1ケノペン」漢字文と英語の構造類似納得。


19日
晴。寝食を忘れ「ヒトケタ」を書く。こまかい部分は後で書き加える。団塊、全共闘「世代」は、昭和22年から25年生れらしい。ヒトケタを大正15年から昭和10年と区切ると、この間の連中はナニ「世代」か。小渕、森、小泉いずれもこの時期に生れている。細川、羽田、橋本もそう。首相だけみりゃ「無能世代」か。高橋源一郎の新潮社書下ろし、発売延期の理由教わる。NGOの大西さん、皇太子にちょっと似てるな。フォトグラファ山本和夫の撮った、30年前のわが姿を写真集にする話がある。夜、女性編集者来訪、今のわが姿を撮り、同じく出版したいとのお申し出。フォトグラファはアラーキーの予定。「あの、裸も撮るんですか」「はい」こともなげにおっしゃる。「素っ裸で?」「いえ、それは考えておりません」よかった。
書き続け、20日7時眠、10時起。本日1時半より、JASRAC評議員会。7,00pm「野坂塾」眠いようなだるいような、食欲ナシ。正午、外へ出ると春の陽ざし、ことさらに明るく感じ、とたんにがっくり。評議員会は欠席して、睡るつもりが、ついTVの画面を観てしまう。小泉、川口外相に対する、よく判らない質疑応答。小泉内閣は長くない。日本はアメリカの太平洋における棄て石。野坂塾、漫才「笑組」、永六輔がゲスト、お客100人近く。終えて帰宅、昏睡。雑踏の中に、裸でいる夢。写真集のせいだろう、ただ、ぼくは焦りまくっているのに、誰も奇妙に思わない。


21日
5,00am起。晴、天女の羽衣の如き雲。餌台にインコ来る。食欲なし。1日2日食わなくても死にはしない。ヒトケタ書く。マスメディア、鈴木宗男1人を糾弾。アメリカ離れをするには、鈴木首相が最適かもしれない。


ホーム > 旅の果て日記

野坂昭如オフィシャルサイト nosakaakiyuki.com
(C)Akiyuki Nosaka. All Rights Reserved