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9月14日
曇のち雨。世間様は本日より連休。われは、カポーティの改訳、ほゞ机の前に座り詰め。夕刻、散歩に出掛ける。小さな犬を連れた男、何も犬が悪いことをしていないのに、ときに気まぐれに蹴飛ばす、よほど注意をしようかと思ったが、犬連れと喧嘩も出来ない、かの犬、いじめられたって主人の味方をするだろう。見ているのがいやで横道にそれる。家の近くに繋がれっぱなしの犬2匹、いずれも純血種、多分仔犬の時にかわいらしくて飼い、あと持てあましてのこと、飯もひどいもの。まさに囚人、アメリカでは、こんな飼い方をすると、州によっては罰則を適用される。以後17日までカポーティ改訳。


18日
晴。6,00pm、新東京会館で野坂塾、永六輔、小林亜星、松崎菊也が出演。今にも人死にが出んばかりの大混雑、たぶん150名ぎりぎりのところ、200数十人は入った。松崎菊也、「永七輔」と自称して当人の前でものまね、まるで似ていない。小林亜星ら、日本の音楽の伝統の観点から、毎年「詩吟の会」を催している、松崎菊也はなんと詩吟七段(ななだん)だそうだが、ぼくは彼が(ななだん)といったとたんダメだと思った。詩吟で(なな)とは使わない、あくまで七はシチである。。漢語の発音を間違えるようで七段もへったくれもあるか。われは神戸中学詩吟部主将であった、今度の「詩吟の会」で決闘する。


19日
晴。2,00pm、フランス人ジャーナリスト、帰国する前にカメラマンを連れて来訪、向こうでわが小説の宣伝をしてくれるとのこと。仏フォトグラファー、ごく粗末なカメラ。本職なのだが、こっちを軽んじているのかと、ひがむ。


20日
4,00am起、晴。自己流柔軟体操、握力維持のためグリップ30回、酒を止め、禁煙、6月あたりから3キロ増えた。食事は、塩、醤油を控え、酢が中心。雑文5枚書く。週刊文春連載、中村うさぎの文章はまことにおもしろい。昔の殿山泰司、今の東海林さだお、ちょっとまねしにくい。しかし、うさぎの模倣者、自分のやや滑稽なふるまいを自虐的にうつす、この模倣者いたるところに見受けられる。中村うさぎ前、うさぎ後と言っていいほど。それにしても椎名誠は、焚火をするかベースボールをするか、ビールを飲んでいるか、この3つで連載を書き続けられるのは天才に違いない。



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