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1月1日
1,30amより、TV朝日「朝まで生TV」出演。この番組18年目に入るとのこと。ここ10年近く、必ず年初の放送に登場、年相応のお飾り男か。テーマは「民主主義とナショナリズムについて、「論客」16名。結局は、北朝鮮とイラク問題における日本国の処置方。水掛け論ともいえぬ、論点スレチガイ。本来のテーマについてなら、小生、30年前、自分なりに見きわめていた。抽象論じゃなく、今年直面するいろんな局面についてしゃべりたかったが、言葉をはさむスキなし。ただ、疲労感いっさいなく、安心。司会の田原総一朗氏、途中退場、そのままイラク行き。
討論終えて、出場者スタッフ混えて飲食会。ついさっきまで不倶戴天とののしりあっていた論客同士、和気アイアイ、なんだこれ八百長かとみなしていた頃もあったが、今は、好もしき風景に思える。これが、パネルディスカッション、ナマの聴衆の前でのことなら、多分、穏やかならぬ気配、もちこされる。出席の経済学者金子勝氏に、経済問題のレクチュアを受ける。われの、「日本列島食いもの」論は正しい由。これから生き残るためには、田舎へ移り、自給自足しかないとのこと。彼の教え子3人スタジオへ来ていて、2人はこの春、アメリカ留学、1人は1年間国内放浪という。少しビール飲む。8,00am帰宅。長篇のゲラに手を入れ眠。2,00pm起。雑煮を食う。各地より頂きもの、山海季節の恵みを味わい、また眠。9,00pm。起きて、雑誌、新年号を乱読。


2日
いつとも判らずねむりこみ、起きて、空腹を覚えお茶漬け。旧臘中の、ややウツ加減失せている。とりあえず散歩、数少ない道行く人に、晴姿なし。もっとも当方もホームレス寸前のいでたち。年賀状の返事、というより、なんやかや、つい長くなってしまう、手紙書く。今年は、書斎、ついに片付けぬまま。いちおう整理したつもりなのだが、見た目も、実質も乱雑なまま。経済面、要するに1年の家計を思うに、最低1日5枚を書かなきゃならない、これが金に替るとして。適当に戴き物を口にし、しみじみ日本の自然のありがたさを思う、くいものについては徹底的ナショナリスト、国粋主義者。元旦の新聞読む。電話のベルもFAXの音もなし。客もなし。時に猫3匹やって来て、われにつつがなきか確かめる様子、目があうとニャオの一声。夜、入浴。PM11,00眠。


3日
子供の頃、これでお正月はお終いと少しさびしかった。神戸時代、昭和19年まで、3日の夜、大人たちが集り、小宴会をしていた。われと同年の者不在、2階で本を読んで、19年に限っていえば、戦局いよいよ急をつげるのに、何も怖くなかったし、心配もしていなかった。鳥居民「昭和二十年」を読みかえす。ブリングス「昭和天皇」下巻にいたり、やや眉唾の記述多い。日本人が書かなきゃいけない。近頃、歴史家がいない感じ。北朝鮮については、まだしもゆとりがある。イラクに待て暫しない。アメリカ大統領が、一国の元首に対し暗殺指令を出し、核先制攻撃を辞さぬ旨声明、どう考えたってふつうじゃない、どんなアメリカ寄りの御仁も、これについては首を傾げる、しかし、誰も止めようとしない。地球を道連れに、ブッシュ自爆か。生き残るのは、オセアニアの島々住民だけといわれている。午後、原稿書き初め、文字を眼で追っていると、ウツになる、益体なき文章ながら、書くに如かず。



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