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2月17日
可燃ゴミを出す。同時に枯葉を掃き清める。松の枯葉が多い、本来ならこれで焚火をするところだなと思う。
ゴミ袋につめたものをカラスが突いている、中身は松葉ばかりでさぞかしがっかりしただろうと思い、パン屑をやる。ヘンな話、ぼくはあの世は信じていないがこういう時、このカラスにあの世であったら優しくして貰えるんじゃないかと、ミョウテケレンな感じがある。一日執筆。


18日
2月の18日はちょっとした記憶がある。少年時代、学校で過ちを咎め立てされ、さんざん殴られた覚えがある。怪我はしなかった、このころの教師は殴り方をちゃんと知っていた。ぼくを殴るときの目はまじめで憎しみは何もなかった。戦後彼は古本屋になった、ぼくは何度もその店で本を買った思い出がある。


19日
午後、日本音楽著作権協会(JASRAC)の評議委員会へ。今年度の予算にある、「訴訟費」というものの内容について質問するも、相変わらずお役人的答弁。一度立って質問し、そのまま相手と対話が出来るのではなく、まったく国会の如くやりとりが続くため突きつめることが出来ない。夕方新東京会館へ。今日の野坂塾は、永六輔氏、松崎菊也氏の応援を得て、お客さんはほぼ200人近く。トリオで約1時間半しゃべる、このままTVに出ても面白いだろうと、自惚れ混じりに思う。しかしぼく自身が本来伝える戦争の実体について、やや心残りに終る。


20日
5,00am起。目が覚めたらゆっくり起きあがるようにしている。可燃ゴミの日、箱のままのみかんやりんごが捨てられている。ゴミを見て日本人はずいぶん贅沢になった、カラスに充分突っつかせてやればいい、カラスが食べ散らかして汚くなるということだけで阻害するのは間違っていると思う。11,00amついうとうとしてしまい、気がつけば夕刻、神田川沿いを散歩する。


21日
そろそろ原稿の締切が気になってきて、机の前に座るが1字も書けない。書けないまま5時間ぐらい経っている。娯楽小説を読むことを禁じたが、禁ずるもなにも最近の海外のものを含めてつまらなくなってきた。このつまらないとしか思わないのは、ぼく自身がボケたのかという反省もある、実に慎み深い人間である。


22日
曇後雨。今日は資源ゴミの日。いろんなゴミの出し方があって、大きな音を立てて出す人、ビンを洗った人、洗わない人、新聞をきちんと包んでる人、あるいは袋に入れている人、それぞれの家風が表れる。


23日
7,00am起。一日ぼんやり机に向い、思いつくままをノートに書く。午後、散歩。戻ってノートを読み返すが自分の書いた文字を判読出来ない。どうも昔から、原稿用紙と違ってノートやメモに書く文字が、乱暴かつ細かい字になってしまうのは、どういうわけだろうか。




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