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2002年1月

生後1年半前まで、記憶をさかのぼり得る、以後10年、まず平穏無事。続く10年、まず狂瀾怒涛。自活を始め、混乱しつゝ何とか生きのび、32歳あたりでささやかな虚名、これにすがって10年間、流行作家。10年間は虚名食い潰し。昔のサラリーマン勇退の年頃、わが作品のアニメ化による泡銭的印税で、あれこれ手を拡げ、すべてそれこそバブル、当然はじけた、借銭如山塊。今、長生きを心掛ける、まだ見るべきもの、多々是有候。

今上、66歳にならせられ給う。先帝この御年の頃は、日独伊三国同盟。ドナルド・キーン「明治天皇」はおもしろい。

12月半ば、9月以降に読了の本の多くを、古書店に渡した。文字通り「渡し」たので、売ったのではない。約300冊、ほとんどとばし読み、小説など筋もあやふやだが、まぁ、読書はしているだろう、と思うのだが。

パソコンによる検索、便利に違いないが、小説家が、これにたよりきるのは危ない感じ。結局、ひきうつしで終わってしまう。

インコがまったく来なくなった、いや、以前年中群れをなし、やってきちゃ騒ぎ立てていた尾長の姿消えて久しく、カワラヒワ、メジロ、ムクドリもみない。鳥について、「東京都」がゴタゴタいっているが、これさえ少なくなった、雀また同様。野良犬がいなくなって何十年経つか、野良猫もどんどん減るばかり。どこまでもついてきた、棄てられた仔犬、必ず2,3匹箱に入れられ、雨の中でないていた仔猫、いまいずこ。

今上が、天皇家のルーツと、挑戦半島の関わりについて、仰せ遊ばされた。日韓サッカー共催を慮り給うたのか。昨今の、情勢を考えれば、「政治的」ご発言に他ならずと、拝察申し上げるのは、臣昭如の不敏だから。

「学」を「芸」に置き換えると、判り易い。「文学」なんてモノモノしい、文芸でいい(雑誌の題不関係)。数学は数芸、金融学なんていわないが、まぁこれは贋金芸。経済学、心理学、医学、教育学、歴史学、物学、科学、みな「芸」でよろしい。「術」も亦可。

死刑囚を「孤独」といっていいのだろうか。脱け出し得るから「孤独」。「死刑囚」はさびしいのか、「死刑囚」は鬱状態か、死刑囚に自殺の機会を与えたら、自死をえらぶか。死刑囚にクジをひかせ、当ったら釈放という仕組みにして、年に一度行う。人間すべて死刑囚。「終身未決刑」という小説はあるが。


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