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2002年1月 その2

野良犬の姿はまず見ない。棄てられた仔猫も少なくなった。そこへドカンと、公園の樹に繋がれた棄て牛。TV、写真で眼にしただけだが、もともと牛の眼は哀れ、人に奉仕し、食べられるために飼育されて来た、例外は闘牛、にしても、一種のなぶり殺し。この牛は、通常の食肉の倍以上の値がつき、大体予約制らしい。
狂牛病とやら、まったく人間の貧欲さにより、牛にとって禁忌の同類相食を強いられて、あげく何百万頭も虐殺された。わが国においては、お上に抗議の意も含め捨てる。
あれこれ述べたら、単行本になってしまうが、冷雨に打たれ、ボール箱の中でないていた仔猫たちとはべつの、気持を重くさせる捨て牛。牛はあきらめきっている眼をしているね。

近頃の、わが国、猫犬事情は、とてつもなく歪つである。犬のアスレティッククラブ、猫のバースディケーキ、人間用缶詰より、犬猫用がしばしば高い、いちばん安いのでも、ジャンクフード1食分。一方、年間、飼主の都合で殺される犬36万頭。飼われ方もしばしば悲惨。12,3年前、ハスキー犬大流行、この本来は使役犬、ペットとしちゃおもしろみに欠けると、いっせいに処分され、今は超小型犬とリトリバー全盛、わがまま勝手な猫とのつき合いはともかく、犬について、日本人は洋犬をカメと呼んだ文明開化の時代から、つき合い方はまったく下手。アメリカには獣医が、救急車を利用し得る。小説に、飼主と犬が撃たれ、飼主即死、犬重傷、警察は犬の脈をみて、「救急車、獣医に連絡」と無線に叫ぶ場面があった。

TV政治討論会で、日本々土に、敵が上陸して来た場合、これをしかるべく迎え撃つための、法律が不備と、喧々轟々。あのね、本土決戦の事態となったら、何をどうしたってお終い、道交法を改正、戦車が一般の道を走ること可能、ヘリが校庭に離着陸、で、どうなりますか一般市民は。

本土決戦必至といわれた昭和20年7月、神戸の中学生は、背後の六甲山に籠り、煮たてた糞尿を、鬼畜アメリカ兵に浴せることになっていた。教官、生徒共に大笑いしながら。

敵性国家秘密工作員が、原子力発電所をドウトカすると、いわれる。それより石油精製コンビナート、東海道新幹線を対象としたほうが有効。この攻撃に対し、防御手段はない。他にも沢山あるが止めておく。前記二つは、危機管理とやらの自称専門家が公言している。

アメリカの自殺者は、大体殺人による犠牲者の1.5倍。顕著に増えている自殺者の年齢ローティーン。他にネイティブアメリカン、イヌイット、同性愛者、アフリカンアメリカンのハイティーン。日本の自殺者は、人口が倍のアメリカとほゞ同数、数も多く、増加率顕著なのが4,50歳代。今年、この世代の自死、倍増とみなされている。


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